放射能と放射線

1.放射能と放射線
　まず最初に、放射能とは何ぞや？という事を書いてみたいと思います。
　原子力を語るのに、放射能は切ってもきれません。というより、放射能がなければ、原発だってこんなに問題にならない筈です。
　とはいえ、放射能の事を詳しく知っているかといえば、大抵の人は知らなかったり、間違って憶えていたり、問題を混合していたり、漠然と怖いものだと思い込んでいたりします。はい、私もそうです。終いには、ゴ○ラが吐くものだとか、放射能を浴びると緑色のゲル状生命体になるとか、昆虫から恐竜まで巨大化するとか、空想映画の知識を鵜呑みにしている人も…いないかな？

　放射能の正しい知識を身につければ、もう怖くありません。放射能と正しく付き合えるのです。そう、例えばエイズなどと同じく、ウィルスの知識を身につけ、正しく接していれば怖がる事はないのです。
　…知識を身につけても、放射能やエイズウィルスが危険である事に、変わりありませんが…。

　さて、一般的に放射能と呼ばれているものは、一体何でしょうか？
　まず、ここに鉱物があるとします。この鉱物はα崩壊を起こしていて、放射線を出しています。従って、この鉱物は放射性物質となります。
　この放射線が出ている性質を放射能と呼ぶのです。
　よく「これは放射能を出している」などというセリフを、映画などでは耳にすると思いますが、これは間違いです。正しくは「これは放射能を持っていて、放射線を出している」になるでしょう。
　ちなみに「放射線漏れ」は放射性物質そのものは閉じ込められているので、距離を置けば安全ですが、「放射能漏れ」は放射性物質が放出されているので、大変危険です。風に乗って放射性物質が飛んできたり、あまつさえ体内に入ったりしたら…！
　放射能には、この他に「放射性物質が単位時間内にどれだけ放射線を放出するか」という、放射能の強さを表している事もあります。
　まとめて書くと、

放射性物質：放射線を出している物質
放射線：高エネルギーを持った粒子
放射能：放射線を出す性質、或いはその強さ

　という事になります。
　しかし今では一般的な認識として、放射性物質＝放射能になりつつあるようですね。